一人ひとり違うということ

 アスペルガー症候群の人は、他人がどう思っているか、どう考えているかを理解することが難しい。そのことで、彼らは子
どもの時から周りから怒られたり、敬遠されたりしてきています。その結果、他人との関わりを怖がる人も多くいます。
 教育の現場では、アスペルガー症候群の人に他人との関わり方を教えますが、注意しなくてはいけないことがあります。それは、アスペルガー症候群といっても一人ひとりの性格がすべて違うということを、まず理解しなければいけないということです。
 社会人になって仕事以外で大切なことは、余暇をどう過ごすか、ということです。余暇を楽しく過ごすことができれば、活動の場が広がり人生が楽しくなります。そうした余暇を見つけるためにも、人とのつきあい方を学ばなければなりません。私も教育の現場で、人とのつきあい方を教えますが、非常に難しいと実感しています。「一年生になったら」という童謡に「友だち100人できるかな~」という歌詞があります。しかし現実の社会では、いい人ばかりが集まってくるとは限りません。
 アスペルガー症候群の人は、相手の表情や言葉の裏側を読むということができないので、だまされやすいという一面もあるのです。他人の言葉を疑わないので、相手の言うままに数10万円もする化粧品を買ってしまったり、新聞を5紙も6紙もとったり、勧誘されていくつもの宗教団体に入ったりという例もあります。
 極端な例では風俗関連の仕事に勧誘されてしまった女性の例もあります。彼女はアスペルガー症候群のために子どものころか
ら家族や周りから大きなプレッシャーを感じていました。ところが街を歩いていると、声をかけてくるスカウトの男性は、彼女の言うことを何でも聞いてくれます。
 彼女は初めて自分のことをわかってくれて気分がよかったので、そのまま風俗店ヘスカウトされてしまいました。
 最近は、パソコンのネットやブログにはまるアスペルガー症候群の人も多いようです。ネットやブログは、人と会わずに「文
字を使って話す」 ことができるので、彼らにとっては非常に相性の良いツールといえます。しかし、いつまでも止めることが
できずに中毒のようになってしまう例もあります。
 したがって、他人との関わり方を教えるためには、その人の性格をよく理解してあげることが非常に重要になってきます。

発達障害と犯罪の関係

 最近は、犯罪を犯した人が発達障害かどうか調べて欲しい、発達障害について知りたい、と弁護士や裁判所からの相談も増
えてきました。自閉症ヤアスペルガー症候群の人は、言い訳をしたり自分をよく見せようとすることが難しいので、弁護士と
いくら打ち合わせをしても、取調官の誘導尋問に対して簡単に認めてしまうこともあります。一度犯罪を犯してしまうと、
家族も含めて社会はなかなか受け入れてくれません。現在、大きな問題になっているのは発達障害と犯罪を犯してしまったと
いう二重の問題を背負った人たちをどうやって救うか、ということです。たとえ発達障害であっても彼らが働ける仕事の場があ
れば、犯罪を犯してしまう確率は大きく減少します。
 発達障害の人たちが働きながら人との関わり方が学べるような職場や施設が増えれば、社会にとっても有益なことなのです。