世界で最も温厚な人でもない限り,全てのことに二人の意見が一致することは不可能です。意見の相違は,日常茶飯事であり,その間題から逃げ出さない限り誰しも避けることはできません。どんなカップルも意見は食い違うもので,それも健康的な恋人関係にみられる一面です。いつも,パートナーと意見をすり合わせようと努力しましょう。
 アスペルガ一にとって,他者の視点に立って物事を見る,あるいは共感するのは,その能力を獲得できた人でなければ,容易にできることではありません。アスペルガーは,先天的に“心の理論”〔他者の知識状態を理解できる機能のことで,自閉症スペクトラムの人はこの獲得に困難があるとされる〕や共感性に欠如があるといわれており,まずは自ら意識して学ぶ必要があります。他者への共感は,確かに学ぶことができます。もし,自分の視点でしか物事をとらえられないようなら,自閉症スペクトラムの専門的知識があり,他者への共感方法を支援できる,優秀な心理セラピストを探して指導を受けてください。恋人とケンカが絶えないなら,共感について学ぶことが必須です。共感性は全てが先天的に備わっていなくても,ある程度訓練が可能です。
 重要なことは,意見が食い違った場合どう対処するかです。もしパートナーと意見が一致しなくても,少なくとも相手の考えを理解し,歩み寄ろうと試みてください。健全な恋愛関係であれば,そこに暴力が生じない限り,たった一回の意見の不一致やケンカでダメになることはないでしょう。
 決して,パートナーには身体的暴力をふるいません。非常に腹立たしく不満があると,暴力的な気持ちが芽生えるかもしれません。しかし,実際にその暴力的な気持ちを吐き出せば,深刻な犯罪となります。現在,恋人間の暴力や,“ドメスティックバイオレンス(DV)”は,警察によって厳しく取り締まられています。どのような状況でも,ことばによる虐待,心理的虐待,身体的虐待は,許されません。もし,パートナーへの怒りをコントロールするのが難しいと感じたら,どうか他者に助けを求めてください。