6 おつき合いがうまくいくために必要とするサポート
 今回だめだったからといって,一生自分には無理と決めつけるのはおかしいかもしれないですが,脳を入れ替えて定型の脳にならないと,普通の交際はできないし,どんな薬をもってしても絶対ムリだと思います。交際とは,どうすべきかを理屈では理解できるし,特にサポートも必要ありません。ですが,知識としてわかっていても,自分の感覚や本能が受け入れないのです。自分でこの矛盾,ギャップを抱えていることがとてもつらいです。
 自分のことをよく理解してくれる友人からは,“お前にはムリ”と頭ごなしに言われています。自分でもそう感じていて,すでに小学生の時に,面倒くさいので絶対結婚しないと思いました。ただし,自分がダメだったからといって,「アスペ=交際,結婚がムリ」だと思われると困ります。当事者仲間でも,交際したり,結婚したりしている多くの人たちがいます。あくまで,自分の個人的な経験であると思ってください。
7 性別がアスペルガーの交際に影響を与えると思いますか?
 わかりません。しかし,発達障害の有無に関係なく,男女の感覚の違いはあるでしょう。ネットなどで調べていても,女性は“どうしてかまってくれないの?”“仕事と私どっちが大事なの?”と,心理的に束縛しようとするようです。男性は,基本的に束縛を嫌い,そうされると気力がなくなりますよね。恋人関係,夫婦関係は,そこをどう妥協するかが課題なのだと思います。
 アスペであれば,さらに他人に束縛されるのを嫌います。また,精神的に疲れている人が多く,自分のことでいっぱいいっぱいの状態で,精神的に余裕がないのも問題を大きくしているでしょう。
8 愛情,ロマンス,感傷的なことは好きですか?
 もちろん好きです。中学生レベルで,恋に恋するタイプ。自分には子どもの部分が残っており,発想が幼稚で30代のオッサンの考えることではない,“あの子可愛いな…”とか,片思いなど,妄想を楽しむ子どもレベルです。恋愛に対する考え,認識が年齢不相応に浅く,子どものようにはしゃいでしまいます。「アスペ=人に興味ない」というイメージは,誤りだと思います。一歩踏み出すと,辛くなるのが分かっているし,どうせムリだと思うので,告白はしません。
9 おつき合いで,体が触れ合うことをどう感じますか?
 大丈夫です。自分は不快ではありません。体のスキンシップはいいのですが,心のスキンシップがだめです。
10 感情の交流を心地よいと思いますか?
 そこなんです,一番の問題は。共通の話題,趣味の話で盛り上がるのは知人,友人,誰とでもできることであり,本当の感情の交流ではありません。交際では,もう一歩ふみこんだコミュニケーションが求められるので,自分にとっては重荷です。僕は,アスペの中でも人づき合いのいいタイプで,友人にはなれるのですが“いい人”止まりが多い。そうところで気を遣わない人となら,交際も可能かもしれませんが,それなら別に女友だちで十分ではないかと思います。
11結婚や長いつき合いを望んでいますか?
 思わないです。あり得ません。ムリですムリ。拘束がつらいのに,ましてや同じ家に他人と住むなんて苦痛です。相手の行動や思考が読めないし,どう接したらいいのかわかりません。アスペの場合,家族ですら関係の悪い人も少なくないのです。
12 家庭を持ちたいと思いますか?
 思うわけがないでしょう。エラいことになる。崩壊します,家族つぶします。子どもは好きだし,子ども目線で遊ぶことは得意で,遊び相手にはなれます。ただ,育てるのと遊ぶのは違います。自分の母親も,僕をどう育てればいいのか悩み,追い詰められたと聞いています。自分と母親との関係がしっくりいってないように,母子関係も問題となることがあります。アスペの場合,子どもへの遺伝もハイリスクというし,子どもに自分の遺伝子が引き継がれたくありません。
13 他のアスペルガーや似た特性のある人とのおつき合いを望ましいと思いますか?
 何とも言えません。一回だけなので分からないのですが,アスペの有無は関係ないでしょう。
14 社会から誰かとおつき合いすべきとのプレッシャーを感じますか?
 ぜんぜんない。どうでもいい。くそ食らえ,好きにさせてくれ。です。
15 おつき合いするために十分な共感性を持っていると思いますか?
 どうだろう…恋人レベルでこんなにボロボロになってしまいました。交際における共感性には,タイミングを捉えること,妥協,臨機応変な姿勢なども求められます。アスペ同士助け合っている人はいくらでもいるので,僕がうまくできなかっただけでしょう。アスペの人は,交際がムリだと社会通念となるのは困ります。アスペは離婚,未婚も少なくないし,発達障害同士のカップルは共依存が多いと思います。(依存と協力の違いは何?)依存は一方的で,どちらかが潰れる状態。協力は双方向で互いの足りない部分を補い合う関係。
 自分には何でも分析する悪い癖があり,「君は考えすぎ」と友人によく言われるものの,今回たったニケ月のつき合いでこれだけのことが分かりました。