もし,アスペルガー症候群と診断された,あるいは自分でそうだと思っているなら,人と親密な関係を築く前に,自分を受容していることが必要です。アスペルガー症候群であることは,決して悪いことではありませんが,自分や周囲の人にどのような影響があるのかを知ることは重要です。

アスペルガーの人たちは,“異星人”や”別の人種”のように感じると,よく言われます。アスペルガーが,世の中の解釈や人生の歩み方に影響を及ぼすことは,疑いのない事実です。アスペルガーの受容は,よく“悲哀”の過程になぞらえられますが,人と異なる神経学的特性があると知らされると,一種の喪失感を味わうでしょう。きっと,過去の自己イメージや,こうありたいと思い描いてきた“普通の人”のイメージが崩れてしまうからです。しかし多くの人は,診断を受けてほっとし,幸せだと感じます。診断を受けることは,自分自身の理解を助け,支援を受ける機会につながり,時にはようやく居場所を見つけたと思えるからです。

恋愛においても,恋人と交際する前に自分を受容していることが重要です。アスペルガーの受容には,医学的な診断を受けることも含まれます。アスペルガーは生涯続く特性であり,いつか古いアイデンティティーや過去を脱ぎ捨てて新しく自分を理解し,将来について考える時期がきます。これには,時間もかかり,心身のエネル
ギーも注がなければなりません。しかし,ひとたび自己受容の道を歩み始めたら,他の新しい人との関係の構築に全てのエネルギーを注ぐことができます。アスペルガーを恋人に告知する方法については,次章を参考にしてください。